原罪の灯

ここに証そう お前の名を ご覧 あれが生命なる灯

終着駅か始発駅か

前略、ご両親さま

 

いかがお過ごしでしょうか。

私は、元気いっぱいではないものの、新しい家にも少しは慣れ、自分の居場所を作り上げつつあります。

 

逃げるようにして出てきて、流れ着いたこの場所が、人生の終着駅なのか、此処から心機一転、始発駅なのか、まだわかりません。

一人になり、とりあえずできる事をして、過ごしていきたいと思っています。

 

私が以前、あとは家族は減るだけなのだから、と言ったのは、2人に先立たれることであり、最初にいなくなるのが私だとは、思ってもいませんでした。

 

お二人がどうしているだろうか、ご飯はちゃんと食べられているだろうか、考えない日はありません。

 

どうか、あなた達が私にしてくれたように、互いを思いやり、感謝の心を大切に、時には自分の感情を抑え、末永く、健康でお過ごしください。

 

相手の感情に引きずられず、共に溺れることのないよう、二艘のボートで寄り添って生きていってくれることを、遠くから願っています。

 

たくさんたくさん、お世話になりました。

私にしてくれたことの、全てが良い方向の愛ではなかったかもしれません。

それ故、袂を分つことにもなりました。

ただ、愛がそこに、大きな愛がそこに常にあり続けていたことは理解していますし、受けた恩は、受けた傷以上に、生涯忘れることはありません。

 

いつか…いつか、雪溶けの日が来ることを、そしてまたお会いできることを、心の片隅で祈っています。

それまで、しばしの間、さようなら。

 

私を愛してくれて、有難う。

長い間、本当に有難うございました。

 

お二人に、穏やかな日常が訪れることを、願って止みません。

 

さようなら、またいつか、お会いする日まで。