原罪の灯

ここに証そう お前の名を ご覧 あれが生命なる灯

デッドライン

今日は予定を入れなかったので、最近よく会う男の子と、天蓋付きのベッドに籠っていました。

 

彼は、職業に似合わず、ほとんど何も言葉を発しません。

それが、職業故の気まぐれなのかは、わかりません。

 

お互い、精神を病みつつ、働いている。

まともなフリをして、生きている。

 

言葉、を、大切にする私です。

だから、ほとんど話さない彼からは、肌の触れ合いや、抱きしめ方からしか、寂しさや孤独を感じられない。

 

言葉の多い人間は疲れるけれど、言葉をあまりに発しない彼からは、汲み取る物が難しい。

 

でも、抱きしめる力や、ぎこちない行為から、寂しさや孤独を汲み取ることは、できます。

 

セックスなんて、単なる摩擦行為で、お金を貰うためのものでしか、なかったのに。

それで良い、と思っていた。

生涯、1売春婦、それに誇りを持っていた。

 

それなのに、私を大切に扱って、まるで高校生みたいな拙いセックスをするから。

汚れ切った私の、体だけではなくて、魂まで、浄化される気がしてしまう。

 

虚妄だよ。

あなたは、私みたいに穢れた人間に溺れて良い人間じゃない。

 

彼が、誰と会って、誰とセックスをしていても構わない。

でも、寂しさや、孤独から、彼を救う女は、私だけで在りたい。

それこそが、傲慢、独占欲。

 

独占欲ってね、行為じゃないんだ。

気持ち、なんだ。

 

私は、誇大だから。

肌の温もりで、寂しさが埋まるなら、私以外の女に、その寂しさをぶつけて欲しくない。

 

一人の時の寂しさは、もう慣れました。

でも、一緒の時間を過ごして離れた後の寂しさは、堪えようもない。

 

捨てるのは、私。

そう、決めている。

でも、それは今日のことではない。

この関係は、未だ失えない。

 

最後のその線引きを

自分なら超えられるとでも思うの?

 

いつか、さよならは来る。

その時に、その時に……もう、辛い思いも、苦しみも味わいたくはない。

 

さようなら、は、早い方が良いのでしょうか。

私を抱きしめて、スヤスヤ眠る彼を、切るのは早い方が良いのでしょうか。

 

私のことは、いい。

彼が病みから抜け出せるのならば、メンヘラ人生、冥利に尽きる。

 

私を抱きしめて眠る、横顔を、ただただ、見つめながら。