嘘をついたの?
ーーーーー私が?何に?
私の見える世界に。
ーーーーー貴女の見える世界?貴女には何か見えているの?
見えている、つもりだわ。
ーーーーーそして、何が嘘で、何が本当か、それすらもわかっていると?
わかっていた、つもりだったわ。
ーーーーーほらね、もう危うい。
貴女が壊したのよ!
ーーーーーそう、そうやって誰かのせいにするといいわ。そのほうが、呼吸がしやすいもの。
責任はないと言うのね、私をこんなところに引き摺り出した。
ーーーーーあら、貴女がそう望んだんだと思ってたのに。退屈だったのでしょう?
でもそのせいで、私は戻れなくなってしまった!
ーーーーー可哀想な人。誰も誰かに無理強いすることなどできないのに。
どうすればいいのかしら…
ーーーーー来た道を辿って戻ったら?
嫌よ!
ーーーーーじゃあ、全て捨てて、自分の足で歩いてみることね。
どうやって?
ーーーーー知らないわ。でも、一つだけ教えてあげる。この世にはね、絶対的な嘘も本当もないの。
どういうこと?
ーーーーー自分で選ぶ、ってことよ。
ちょっと!待って、行かないで。
ーーーーー私には見えているの、邪魔しないで。
踏み出した場所が、もし奈落だったら?
ーーーーーそれが貴女の本当ということよ。